短編集 ギャグにあらず・３

つるっつる

「あー、わかるわかる、あの元アイドルの子でしょ？　エステの CM 気合い入ってたよね」
「そこまでしたか！みたいなねー。でもキレイになってた。脱帽だね」
「うんうん。」

　電車内で盛り上がっている女の子の前に立っていた男性が、口の中で何かつぶやいて降りていった。

　それから１ヶ月後のことだった。ある会社で年末の大掃除が行われた。机も移動させての大仕事である。

　１人の男性社員が、スーツの上着を脱いでワイシャツの袖をまくり上げた。そのとたん、横にいた社員が言った。

「うわっ、どしたのお前。腕、つるっつるじゃん。ボーボーだったのに」

「脱ボーしてみた。」

　寡黙で男らしいのがウリの彼が放った、年忘れジョークは、無事にウケた。