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現れた槻田をつい、冷たい目で見てしまう。
「……ケーサツの人って、いいとこで出てくるもんなんじゃないの?
なんで、見つかるの。
図体がでかいから、隠れ切れなかったの?」
まだ問い詰め終わっていない。
槻田が顔を出さない方が話を聞きやすいかと思って、隠れてもらっていたのに。
もう~っ!
と睨む七月を、いやいやいや、と校長が宥めに入る。
「貴方が居るのなら、彼も居ると思っただけですよ」
何故、貴方がフォローを入れてくださいますか……、と彼を見た。
「しかし、完全に今から尻に敷かれてますが、大丈夫ですか?」
槻田は、問い詰めている犯人に、余計な心配までされていた。
「大丈夫ですよ。
別に槻田先生とはそんなんじゃないし」
槻田ではなく、七月が答える。
「それに、頼りになるようでいて、ちょっぴり詰めが甘いところも、実はキライじゃないんです」
どさくさ紛れに、今の素直な気持ちを吐露すると、校長は、それはそれは……といつものように優しげに笑った。
胸が痛くなる。
そんなに接点のなかった人物だが、悪い噂は聞かなかった。
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