第三章 懐かしい人たち

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   槻田は何処に行ってしまったのだろう。  七月は三橋たちと当てもなく歩き出しながら、あの昇降口の方を振り返る。  佐竹という教師は、自分たちに槻田の後を追わせたくないようだった。 「何処へ行く?」 と三村が訊いてきた。 「やっぱ、生物準備室か?」 と三橋が言った。 「なんで?」 「骨が踊ってるかもしれないだろ」 「はあ、まあ、そうだね。  行ってみてもいいよ。  特に行くところもないしね。  あ、でも、ちょっと図書室に寄ってもいいかな」 と三村が言う。 「図書室?」 「ちょっと調べたいことがあるんだ。  本はちゃんと普通にあるよね」 「またなんか呼び出すつもりじゃないでしょうね」  ふと不安になり、七月が口を挟むと、 「これ以上呼び出しちゃ定員オーバーだよ」 と三村はよくわからない返事をしてくる。
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