第四章 始まりの人

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「余計なことばかり教えてくれる人でしたよ。  私に女の霊が憑いているとか」 と校長は己れを抱くように、右手を左肩にやった。  彼の後ろで、重い葉が風に枝を揺らしている。  その黒い影こそが、彼に覆い被さろうとしている霊のように見えた。 「憑いてちゃいけませんか? 霊」  そう問うと、校長は、ははは、と笑い、言う。 「そうですね。  やはり、貴方がたは親子なのかもしれませんね。  本当に言うことまでよく似ている」  校長の視線が自分を通り過ぎるのを感じた。  背後の校舎を見上げているようだった。 「確かに憑いてていいんですけどね。  でも、どうせ、見えないものですから。  見えると言われたら、期待するじゃないですか」 「期待?」
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