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「余計なことばかり教えてくれる人でしたよ。
私に女の霊が憑いているとか」
と校長は己れを抱くように、右手を左肩にやった。
彼の後ろで、重い葉が風に枝を揺らしている。
その黒い影こそが、彼に覆い被さろうとしている霊のように見えた。
「憑いてちゃいけませんか? 霊」
そう問うと、校長は、ははは、と笑い、言う。
「そうですね。
やはり、貴方がたは親子なのかもしれませんね。
本当に言うことまでよく似ている」
校長の視線が自分を通り過ぎるのを感じた。
背後の校舎を見上げているようだった。
「確かに憑いてていいんですけどね。
でも、どうせ、見えないものですから。
見えると言われたら、期待するじゃないですか」
「期待?」
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