第四章 始まりの人

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「おねえちゃんは、左肩の霊の話をしたんですよね?」  校長の左肩を見ながら、七月は確認するように七月は問う。 「左肩はだいたい、守護霊とかの、いい霊が憑くっていいますけどね」 「俺は、左についた悪霊を見たことがあるぞ」  だから、そういう余計なことを言うなって……。  空気を読まない槻田を再び睨んだ。 「校長は昔、霊が見えたのに、今は見えなくなってるんですよね。  それは、たぶん、その霊が憑いたからです」  そう言うと、校長は不可解そうな顔をした。 「その女の霊は貴方を守ってるんです。  だから、霊が見えなくなったんですよ。  守護霊が強いと、霊感が強くても、霊が見えなかったりしますからね。  なんでもかんでも見えるというのは、あまりいい状態じゃないんですよ。  少し、弱っているというか。  ガードが甘くなっているというか。  つまり、その霊が憑いたことで、他の霊から守られ、運気も上がったって、感じですかね?  おねえちゃんは、そこまで説明しませんでしたか?」 「いえ。  何か楽しそうに笑ってるだけでした」  ……そうかもな、と思う。  あの人ならそうかもしれないと思った。
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