第四章 始まりの人

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「そういえば、校長が関わった殺人事件ってなんですか?」  それまで饒舌だった校長がそこで黙り込んだが。  しばらくして、唐突に語り出す。 「うち、人体骨格標本ってなかったんですよね」 「は?」 「いや、最初はあったんですけど。  壊れてしまって。  それが或る日、昔の友人から、いきなり、寄贈されたんですよ」 「骨格標本をですか?」 「そういうの作ってる会社の社長なんで」  ああ、と七月は頷く。 「お前のところ、壊れたままだって言ってたなって言われて。  壊れても、実際のところ、あまり授業で使うものではないですしね。  まあ、あれがあると、如何にも生物室って感じで、いいのはいいんですけどね」  まあ、確かに、何処の学校でも、オブジェみたいになってるな。  小学校とかも、もっぱら、掃除中、男子たちがふざけるのに使ってただけで、授業で使った記憶はない。
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