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そんなことを考えて、下を向いて歩いていた。
あたしらしくない。
まるで落ち込んでいるみたいじゃないか。
顔を上げ、パーカーのポケットに手を突っ込む。
目の前には、昔見た校舎。
一年前と何も変わらない。
ただ、この時間だ。
外には誰もいない。
昼時だから、皆校舎内でお昼休憩か。
あたしは校門をくぐり、敷地内へと足を踏み入れた。
地面はアスファルト。
隙間に入る砂利が、歩く度に少し音をたてる。
正面玄関。
くぐると下駄箱が何列も並ぶ。
あたしが使っていた場所は忘れた。
スニーカーのまま、廊下へ上がる。
この校内の独特な匂い。
少し不愉快。
視界に入り込む消火栓の赤いランプ。
トイレ。
これも、どこか嫌な気持ちになる。
学校は嫌いな場所だから、見覚えのある所が気持ちが悪い。
歩いて階段を上る。
教室はどこだろう。
一階に学年の教室はない。
二階を目指した。
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