3人が本棚に入れています
本棚に追加
/101ページ
こんな感情は初めてだった。
体の奥から沸き上がってくる怒り。
無意識に握り拳を作る。
「てめぇら全員、ぶっ殺──」
そう言いかけた時だった。
玲央菜が目を見開く。
慌てたように、恐怖へと表情が変わる。
そして、あたしが一歩踏み出した瞬間。
────
「ハッ……!!」
あたしはベッドから上半身を起こした。
汗が頬を伝って、顎の先から滴り落ちる。
袖で汗を拭った。
暫くの間、あたしはそのままじっとしていた。
悪夢。
思い出せないが、何か〝悪い夢〟を見ていたような気がした。
ここは、あたしの部屋だ。
ゆっくりと部屋の中を見回す。
普段と何も変わりはしない。
ふと、時計が目に入る。
時刻は昼過ぎ。
こんな時間に目が覚めてしまった。
夢の内容は、何も思い出せない。
最初のコメントを投稿しよう!