玲央菜‐れおな‐

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私が13歳、 中学一年生の頃の話── 中学に進学したのはいいけれど、 根暗で引っ込みじあんの私には、友達なんて呼べる存在がいなかった。 小学生の頃から読書が好きで、常に本を持ち歩いている。 実家が和菓子屋さんをやっているものだから、帰宅後はそれのお手伝い。 今日もクラスに一番で登校して読書をしている。 時々、誰かに読んでいる本を勧めたいなんてことを思ってしまう。 そしたら、その人はどんな感想を言ってくれるのかな? なんてニヤニヤしてしまう自分がいる。 おかしい。 友達なんていないのに。 時間が経つにつれて、クラスは人で賑わっていく。 友達と登校してくる者。 一人だけど、友達がいる者。 様々だけれど、私には関係ない。 時折聞こえてくる。 昨日観たテレビの話とか、 最近流行りのゲームの話とか、 今日はどこに遊びに行くだとか。 私には関係のない話ばかり。 でも、 『昨日のテレビは私も観たよ』 とかちょっと言ってみたい。 でも、私にはそれができない。 勇気が出ない。 だから私は本を読む。 自分だけの世界に入れるから。 誰に気を遣う訳もなく、楽だから。 しかし最近、そんな世界に浸っている時に、踏みいって来るやつらがいる。 「おいっ! お前また本読んでんのかよ。暗すぎ」 本から視線を外す。 目の前には、所謂ギャルというものが何人かいる。
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