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何もない──本当に何もない、空っぽの一年間だった。
生きていても何もない。
つまらない。
面白くない。
何故、人間は生きるのだろう……。
季節は春。
中学生になってから、二度目の桜。
あたしの名前は安藤悠里。
都内の都立中学に在籍中の中学二年生。
ただ、一つ。
あたしは〝普通じゃない〟
だって、不登校だから。
学校なんか行ってない。
だって、つまらないから。
義務教育だからエスカレーターのように進級できたけれど、登校したのは一年の頃の数回だけ。
いわゆる、不良。
セミロングの髪は金髪だし、ピアスもあけてる。
お化粧はしない。
面倒くさいから。
あたしの行動時間は夕方。
夕方になると家を出て、外をブラつく。
制服なんて十の昔にどこかへ行ったっきり、見つからない。
だから、可愛い服を着て出歩く。
最近の楽しみといえば、警察をからかうこと。
これがすっごい楽しい。
この見た目からか見つかると絶対に話し掛けられるから、走って逃げるんだ。
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