玲央菜‐れおな‐

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笑い声が響き渡る放課後の教室。 私は床に手をついて、破れたページをかき集める。 自然と涙が込み上げてきた。 我慢なんか出来なくて、清掃した床にボロボロと溢れ落ちる。 こんなの酷いよ。 酷すぎるよ。 「あははっ! こいつ、本破られて泣いてんじゃん! また買えっつーの!」 皆私をバカにする。 悪いことなんて一つもしていないのに。 なんで私が、なんで、なんで── 《ガラガラガラ……》 開いた後ろのドア。 私たち以外誰もいない教室に、一人の女の子が入ってきた。 ギャルたちは一斉に静まる。 その子はこちらを見向きもしないで一番後ろの窓際の席に向かっていく。 そして、机の上の鞄に手をかけると、固まっているギャルたちに顔を向けた。 「それ、楽しいの?」 ギャルたちは何も答えない。 ただ、じっとして動かない。 情けない泣き顔を見られた。 私はあの人にも虐められるかもしれない。 そう考えると、怖くなった。
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