玲央菜‐れおな‐

13/59

3人が本棚に入れています
本棚に追加
/101ページ
「そういえばさ、昨日の質問なんだけど」 私たち以外誰も居ない教室。 その後方から、声が聞こえた。 声のする方に私は顔を向ける。 教室の入口。 昨日とは違い、少し楽しそうな表情を浮かべる安藤悠里の姿がそこにあった。 昨日の帰りと同じように、ポケットに手を突っ込んでいる。 ギャルたちがそれに気付くと、そそくさと私の周りから離れていく。 「だっせーなーお前らー」 彼女の棒読みの台詞に、一同足を止める。 「弱い者虐めとか、だっせーよ」 しかし、ギャルたちは何も言わずに揃って教室を出ていった。 この人、雰囲気が怖い。 絶対に敵には回したくない。 私は何も考えずに、口を開いていた。 「あの、ありがとう……」 それしか言えない。 いや、そう言いたかった。
/101ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加