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「そういえばさ、昨日の質問なんだけど」
私たち以外誰も居ない教室。
その後方から、声が聞こえた。
声のする方に私は顔を向ける。
教室の入口。
昨日とは違い、少し楽しそうな表情を浮かべる安藤悠里の姿がそこにあった。
昨日の帰りと同じように、ポケットに手を突っ込んでいる。
ギャルたちがそれに気付くと、そそくさと私の周りから離れていく。
「だっせーなーお前らー」
彼女の棒読みの台詞に、一同足を止める。
「弱い者虐めとか、だっせーよ」
しかし、ギャルたちは何も言わずに揃って教室を出ていった。
この人、雰囲気が怖い。
絶対に敵には回したくない。
私は何も考えずに、口を開いていた。
「あの、ありがとう……」
それしか言えない。
いや、そう言いたかった。
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