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初めて彼女と目が合う。
背中がゾクッとした。
目付きが、怖い。
「だから助けてんじゃねーつってんだろ、アホ」
「で、でも……! 私は助けられたと思ってる……! ありがとう……!」
私は必死になって、もう一度感謝を述べた。
彼女は違うかもしれないけれど、私は助けられたと思っているから。
お礼を言いたかった。
「あたしはあーゆうバカどもを潰すのが楽しいだけだよ。あとお前、弱すぎ。一回くらい言い返してみろよ」
言い返してみろ、か。
出来ないよ。
弱いのは自分が一番知ってる。
言い返したら、やられるだけだから。
だから──
私は虐められっ子のままでいい。
「……無理だよ……。……私じゃ……」
出来ないものはできないし、怖いものは怖い。
やり返さなければ、被害を最小限に抑えられる。
「……あっそ」
悠里は席に着くと、頬杖をついて外を眺める。
昨日のように、何も考えていなさそうな顔。
じっと外を眺めていた。
あたしも自分の席に着いて、朝のホームルームを待った。
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