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「……一体なんなの、私の周りにばかり……!」
今までの私とは思えないほど、すらすらと言葉が出てくる。
「和菓子」
彼女の人差し指が、私を指した。
和菓子……。
何を言っているのか理解できない。
その一言では、意味が分からない。
「和菓子の匂いがした、お前から」
彼女は指した指を引っ込め、教室からゆっくりと出ていく。
この場面で、一体どういうことなのだろう。
和菓子の匂いがしたから、話しかけてきたってこと?
理屈が全く理解できなかった。
しばらくその場に立ち尽くしていた。
その間、一ミリも動くことはなかった。
ふと、我に返る。
廊下に出るが、既に彼女の姿はない。
彼女を追いかけた。
走って階段をかけ下りる。
そして、理解出来ないことがもう一つ。
何故、私は彼女を追いかけているのだろう。
先生、ごめんなさい。
明日は廊下、走りませんから……!
昇降口に到着すると、校門を抜けていく彼女を見つけた。
必死になって追いかけるが、私は運動音痴でおまけに体力もない。
距離が縮まらない。
「はぁ……はぁ……はぁ──」
追いかけなくても良いのに。
それなのに、私は走った。
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