3人が本棚に入れています
本棚に追加
/101ページ
────
その日は、教室に彼女の姿がなかった。
休み時間にあちらこちら探したが、見つけられない。
いつも通りギャルたちに虐められるのかと思いきや、そんなことは一切なかった。
寧ろ、視線すら感じないほど。
そう。
私は、虐められなくなった。
──放課後。
私が席で読書をしていると、教室に彼女が戻ってきた。
なんだか眠そうな様子で背伸びをする。
「じゃあ行こうか。和菓子屋」
「う、うん……」
帰り道。
私は朝の出来事が頭から離れなかった。
あんなことをされて、なんとも思わないわけがない。
しかしこの彼女の様子を見ている限り、本当に気にしていないように思える。
「あ、あの……」
「ん?」
「机の落書き、なんとも思わないの……? 私は嫌だよ、あんなの……」
「あぁ。あのくっだねぇイタズラか。別に、気にしてないけど」
私が嫌だった。
初めて友達になれるかも知れない人が、あんなことをされて。
悔しくて、また泣きそうになる。
「お前が気にすることじゃねーだろ」
「うん……」
最初のコメントを投稿しよう!