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行きつけの和菓子屋に到着する。
カウンターには誰も立っておらず、ベルが置いてある。
これを鳴らすと女の子が出てきて、みたらし団子を注文出来るのだ。
でも、あたしはベルを押しても何も言わない。
常連だから。
何も言わなくても、みたらし団子って分かってるから。
ベルを押すと、いつも通り女の子が裏から出てくる。
いつもみたいにニコッって笑って、何も言わない。
手慣れた手つきでみたらし団子を袋へ入れる。
そして、その袋を受け取りお金を渡す。
金額も分かってるからカウンターへお金を置いて、そのままあたしは立ち去る。
女の子は常に笑顔。
あたしを見送るときは必ず外へ出てきて、深くお辞儀するんだ。
だけど、あたしはこの子と話したことがない。
声を聞いたことがない。
不思議。
常連なのに、店員と客が話したことがないなんて。
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