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何も考えていなさそうな目。
私越しに遠くを見つめているのではないかと錯覚する。
彼女は、まだ団子が二個残っている串を私に向けた。
行儀が悪い。
でも、何か言いたそう。
「なんでそんなに慌ててんの?」
「え、えっと……だって──」
私は視線を落とす。
口をモグモグさせて、彼女は私から視線を外さなかった。
急に照れくさい。
「……あたしたちは、友達じゃないの?」
その言葉に顔を上げた。
〝友達〟
彼女はそう言った。
私は何か大きな勘違いをしていたのかもしれない。
〝友達になろう〟
なんて言わなくたって、良かったのかもしれない。
友達って、そういう風に出来るものなのかもしれない。
「ちげーの?」
「わ、私は──」
胸の鼓動が早まる。
もう、ひとりぼっちじゃない。
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