玲央菜‐れおな‐

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最初は、悠里ちゃんの机が、教室から消えた。 次は、悠里ちゃんがトイレから戻ってくると、全身びしょびしょになっていた。 また次は、悠里ちゃんの鞄が、放課後になったら切り刻まれていた。 私が何を訊いても「別に何でもない」とか、「気にしなくて良い」だとか言い張る。 本当は友達を助けたい。 自分は虐められたくないけれど、悠里ちゃんを虐めないでほしいと、そう思っている。 でも、言葉にして悠里ちゃんを助けることが出来なかった。 もしそう言ったとして、また自分が虐められるかもしれない。 私は、臆病だから── 「ねぇ……どうして、どうして……! なんでやり返さないの!? 悠里ちゃんは強いんでしょ!!」 だから、こう言うしかなかった。 悠里ちゃんの机を叩いて、大声を張り上げる。 私は間違っている。 「弱いやつは相手にしない」 「でも……」 これ以上言葉が出ない。 もう、言うことがない。 間違っているって分かっているから。 私は本当に最低な人間だ。 そう思った。 「誰が弱いって……?」 放課後の教室には、私と悠里ちゃんしか居なかった。 そこに突然現れたいつものギャルたち。 場面は最悪。 私は挙動不審になり、相手を一切見ることが出来なかった。
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