3人が本棚に入れています
本棚に追加
/101ページ
最初は、悠里ちゃんの机が、教室から消えた。
次は、悠里ちゃんがトイレから戻ってくると、全身びしょびしょになっていた。
また次は、悠里ちゃんの鞄が、放課後になったら切り刻まれていた。
私が何を訊いても「別に何でもない」とか、「気にしなくて良い」だとか言い張る。
本当は友達を助けたい。
自分は虐められたくないけれど、悠里ちゃんを虐めないでほしいと、そう思っている。
でも、言葉にして悠里ちゃんを助けることが出来なかった。
もしそう言ったとして、また自分が虐められるかもしれない。
私は、臆病だから──
「ねぇ……どうして、どうして……! なんでやり返さないの!? 悠里ちゃんは強いんでしょ!!」
だから、こう言うしかなかった。
悠里ちゃんの机を叩いて、大声を張り上げる。
私は間違っている。
「弱いやつは相手にしない」
「でも……」
これ以上言葉が出ない。
もう、言うことがない。
間違っているって分かっているから。
私は本当に最低な人間だ。
そう思った。
「誰が弱いって……?」
放課後の教室には、私と悠里ちゃんしか居なかった。
そこに突然現れたいつものギャルたち。
場面は最悪。
私は挙動不審になり、相手を一切見ることが出来なかった。
最初のコメントを投稿しよう!