玲央菜‐れおな‐

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振り向いた正面に、一人の女の子。 数メートル先にポツンと立っている。 「だれっ!?」 綺麗な水色の長髪。 蒼い瞳に、よく似合う青いワンピース。 物凄く幼くて、小さい。 その子は私を見つめるが、口を開かない。 この世界で動いているのは、この少女と私だけ。 少女がそっと私に手を差し伸べる。 細くて綺麗な手。 『こんな世界、間違ってるよね?』 脳裏に響く幼い声。 この声の主は、きっと目の前の女の子。 『貴方のお願い、聞いてあげるよ』 一体、世界はどうなってしまったのだろう。 私の願い。 この子は何処から来たのか。 何者なのか。 『時間を戻してあげる。それを臨むのなら。この手を掴めば、願いはきっと叶うよ』 時間が戻ると、少女は言った。 そんなことが起こり得るのだろうか。 ──いや── あるのかもしれない。 有り得るのかもしれない。 今のこの世界。 夢にしては鮮明すぎる。 その手を掴めば、本当に願いが叶う。 そんな気がした。
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