玲央菜‐れおな‐

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私が席を立とうとした瞬間、目の前に例のギャルたちがやって来た。 心拍数が上がり、恐怖にかられる。 「帰るの?」 話せない私は、小さく頷く。 そう言って立ち上がると、ギャルたちが私を囲むようにした。 逃げられない。 大好きな本を両手で抱き抱える。 私は何もしていない。 遊び相手がいれば、誰だって良いんだ。 それがたまたま私だったんだ。 自分達よりも格下の相手を虐められれば、それでいいんだ。 「その本さぁ──」 リーダーの少女が私の本を取り上げる。 〝今度こそは〟取られないようにと必死に守ったが、運命には逆らえなかった。 この本は、一生懸命おうちのお手伝いをして手にいれたお金で買った大切な本。
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