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──翌日。
私が登校すると、大量の画鋲が上履きの中に敷き詰められていた。
知ってる。
登校した途端に始まる虐め。
私は唇を噛み締めて教室へ向かった。
上履きはそのまま下駄箱に放置し、靴下で向かう。
教室に入ると、予想通りギャルたちが私の席の近くにいた。
「おはよー玲央菜ちゃん。昨日はやってくれたな」
もちろん、話せないので何も言わない。
無言の私に腹をたてている様子だった。
「無視すんなよっ!」
ギャルが私の机を蹴り飛ばした。
机は派手な音をたてて、倒れる。
中の教科書が床に飛び出た。
まだ朝だ。
登校してきたばかりなのに。
この場面。
昨日はうまく悠里ちゃんとの遭遇を回避できた。
今回もまた、悠里ちゃんが登校してくるかもしれない。
私はギャルたちの間を走り抜ける。
そのまま、近くのトイレへ逃げ込んだ。
この気持ちはなんだろう。
やっぱり──
この世界でも友達が良いよ。
でもそうしたら、また繰り返すことになってしまうかもしれない。
私は話せない。
だから、運命をひっくり返すことなんて、不可能に近い。
こうするしか、なかった。
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