玲央菜‐れおな‐

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四時間目が終了し、お昼休み。 私がいつもの人たちに虐められて、ホースを使って水をかけられていた。 トイレの隅へ押しやられて、逃げ場所を失う。 運が悪いことに、リーダー格のギャルとは同じクラス。 折角堪えてきたのに、また一年間の虐めが始まる。 ずっと堪えてきた。 ずっと我慢してきた。 この世界が、正しいと思っているから。 これが、望んだ世界だから。 「玲央菜ちゃーん。避けないとびしょびしょになっちゃうよー!?」 ギャルたちの虐めは止まらない。 全身びしょびしょになって、せめて顔だけでも守ろうと腕で庇う。 「ねえ」 突然、トイレに響いた一言。 咄嗟にギャルたちは振り向く。 ホースから発射される水が、私から逸れた。 女子トイレの入り口に立つ一人の少女。 見覚えのある金髪。 ピアス。 表情。 それを見て疑わなかった。 ──悠里ちゃんだった。
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