玲央菜‐れおな‐

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抵抗すればするほど、ギャルの態度が悪くなる。 嫌だ。 嫌だ……! 同じことの繰り返しをするわけにはいかない。 私しか知らない事情。 一人で戦うしかない。 「てめえ……っ!」 その時だった。 頬に鋭く重い衝撃が走る。 痛いが、声すら出ない。 私は殴られた。 反動で床に倒れ込むと、ギャルが私の腕を掴み無理やり引っ張り起こす。 「てめぇ次は分かってんだろうな! あぁ!?」 怖かった。 殺される。 恐怖からなのか、涙が溢れ出してきた。 いや、違う。 ──悔しい。 泣きながらトイレへ連れ込まれる。 また、繰り返す。 同じ運命を辿る。 トイレの隅へ押しやられた時に気付いた。 血の味がする。 口から血が出ていた。
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