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──数日後
あたしはまた和菓子屋へ向かっていた。
今度は、夕方ではない。
時刻は昼過ぎ。
太陽は高く昇り、暖かい日差しが降り注ぐ。
久しぶりに日光を浴びた。
暖かい。
平日だから、警察に見つからないようにしないと。
……別に、見つかってもいいか。
見つかっても、いつものように逃げる。
それだけだから。
少し歩いて、いつもの和菓子屋に到着。
運良く警察とはすれ違わなかった。
いつもここを巡回しているわけでもなし、こんな日もある。
いつも通りカウンターに店員の姿はない。
カウンター下のガラスケースには、美味しそうな和菓子が並ぶ。
やはり目を引くのはこれ、みたらし団子。
店員を呼ぼうとベルに手を伸ばしかけたその時、動きが止まった。
今は平日の昼過ぎではないか。
ベルを鳴らしたとしても、あの女の子は出てこない。
学校へ行っている時間か。
あたしは手を引っ込める。
別に良いじゃないか、店員があの子じゃなくったって。
別に良いのに。
それなのに、あたしはベルを押さなかった。
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