玲央菜‐れおな‐

57/59
前へ
/101ページ
次へ
出血なんか気にもならなくて。 悔しい気持ちで胸がいっぱいだった。 やっぱり、一人じゃ何も出来ないんだ。 せっかく悠里ちゃんに勇気を貰ったのに。 運命に抗っても、何も変わらない。 きっと、私が望む正しい世界なんてものは実現出来ないのかも知れない。 一番最初の──あの世界が、本物の姿なのだ。 「ねえ」 聞き覚えのある声。 きっと悠里ちゃん。 同じだ。 前と同じようにホースの先が私から逸れる。 前と同じように静寂になる。 そして── 「お前ら全員、ぶっ殺──」 悠里ちゃんが言いかけた瞬間、時間が巻き戻る。
/101ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加