玲央菜‐れおな‐

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──今回戻ってきたのは、その日の朝。 時刻は7時。 これから支度をして、学校へ向かう。 普段ならそうしている。 しかし、私はベッドから出なかった。 学校へは、行かない。 逃げることを選択した。 きっとこれが正しい。 おばあちゃんには嘘をついた。 ジェスチャーで額に手を当て、熱だと伝える。 その行動とは裏腹に、和菓子屋の制服を着て売り場へ出る。 もちろんおばあちゃんには止められたが、私は首を振っていつもの厨房へ立つ。 いつも通りベルが鳴ったらカウンターへ。 ── お昼の時間。 時刻は12時。 お昼休憩のため自室へ戻ろうとした時だった。 外に誰かいる。 カウンターの前でじっとして、商品なんて選んでいないように思える。 直ぐに分かった。 悠里ちゃんだ。 私は走って、カウンターへ急いだ。
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