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〜母親のお見舞い〜
お休みの日に何処かへ出掛ける支度をしている
「どこいくん?」
サユリさんが嬉しそうに言う「ひなちゃん!ママに会えるよ!良かったね!」
私はその瞬間あの異様な空間を思い出した。
お酒の空き瓶や机の上の大量の睡眠薬
そして見たことのない自分の母親の顔。
私は「……。杏果ちゃんと梨花ちゃんもくるん?」
すると「うん!みんなで行ってあげようね」
車の中で私は元気な姿の母親の顔を想像していた。だって病院にいるしちゃんと薬も飲んで良くなってるはずだからと。なにか持っていけば良かったかなとか杏果ちゃんと梨花ちゃんといっぱい遊んだことを話そう。あとご飯も美味しいよって。
考えてるうちに病院に到着した
手続きが終わり
サユリさんが「ちょっとまっとってね」
と先に母親の病室に入った
杏果ちゃんと梨花ちゃんと私は椅子に座って待ってる
すると
サユリ「入っていいよ」
私は椅子から勢いよく降りて病室を開けた
「ママ〜!!」
すると、点滴をされ鼻からチューブみたいなのをいれて
「hぃなぢぁん」(ひなちゃん)と。
呂律が全く回っていなかったのだ。
ショックでたまらなかった。想像していた姿とまるで違う。一生この姿なのかとさえ私は思った。
だがそれでも久しぶりに会う自分の母親だ。
母親と過ごして来た日々が一気によみがえり
泣きそうになるが私は元気にしているということを伝えたかったしなにより母親は呂律が回ってなくても手を震えながら私に向け嬉しそうに私を見るから
目を熱くしながら微笑んだ
「来たよ」
と答え母親の手を握り返した。
いつのまにかサユリさんは居なく二人きりになった。
「gぇんkいにしtうん、?」(元気にしとるん?)
「うん」私は声が震えるのが抑えられなかった
「tちぁnと食bぇとrん?」(ちゃんと食べとるん?)
「うん」私の声はどんどん震え
必死に涙を堪えていたが自然と目から溢れ出てしまった。
その様子を見て母親は
「gぉめんね。hぃなちゃん。gぉめんなざぃ」
(ごめんね。ひなちゃん。ごめんなさい)
と抱きしめてくれた。私も
もう一度「うん」
と涙を浮かべて答えベッドに横になっている母親に寄り添った。
幼き私は母親が自殺未遂をしたと同時に捨てられてしまったのだと勝手に受け取ってしまっていた。
なぜなら、母親は私を残しても命を捨ててそして私をも置いて捨てることができるんだと幼いながらも感じていたから。
いまでも自殺をするということは家族や大事な人を捨てるという行為だと思っている。
その先はあなたの居ない人生をおくらなくてはいけない。
そして一人の人間など誰一人存在しない。
あなたが好きな人やむしろ気が合わず嫌ってる人もそう。
あなたのことを見てる人は誰かしらいるということに気づいて欲しい。
今はSNSが多く存在し、それこそ後々書くが
周りに相談できないことを伝え合うことも出来る。
一番恐ろしいのは、私の母親みたく強がって誰にも相談せずに爆発してしまう事だ。
もしかしたら助けられたかもしれない命や
もしかしたら相談さえ出来ていれば亡くさなかったかもしれない命が多く存在している気がしてならない。
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