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「はいはい、ちゃんと言えって事ね」
「そ」
「彼女に、なって?」
「はい」
即答してしまった自分に恥ずかしくなる。
彼も恥ずかしいのか、
「飲んでからと思ったのに」
ボソッとそう言った。
「トライって何点?」
「さぁ、今日のは何点だろ」
「100点!」
「採点が甘い」
「ねぇ、いつから私の事好きなの?」
「あー……全部ちゃんと聞きたい人だー」
「うん」
「それは、酔ってからでいい?」
「……うーん、うん」
「触る?」
「それは、酔ってからでいい?」
「飲むしかないな」
「今日まだ……週始め」
「瞬発力、生かせず」
水城くんが複雑そうに笑うもので、私は顔が緩みっぱなしだった。
二人で話してみると、会社で見る彼ともグラウンドで見た彼とも違って、自分がとても特別な、存在になれた様な気になった。
「すみれ」
急に名前を呼ばれ、固まった。名前を呼ばれる威力って凄い。
「呼びたかっただけ」
そう言うとスタスタと歩き出す。私は足が覚束なくなって、手を繋いでくれて良かったなって、思った。
「可愛い名前」
年下の子に可愛いなどと言われなれないセリフを吐かれ、恥ずかしい。
少し後ろから見る彼も……少し、耳が赤い?
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