ep.1 はじまりの光【魔女】

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 しかし、その戦いにも決着の時は確実に近づいていた。 「くそっ!もう手に力が……」  ここに来て勢いを増す魔女の猛攻に対し、キャンティーの体力は限界をとうに越えていた。  そしてとうとう均衡(きんこう)が破れる。 「ぐッ……!」  春バードによる光の傘をすり抜けた一本の剣が、キャンティーの肩口を貫いたのである。尚もキャンティーは、気力だけで春バードを回し続ける。  また一本すり抜けた剣が、キャンティーの太ももを貫いた。思わず片膝を地面に着くも、キャンティーは諦めない。 「キャンティーさんッ!もう十分です!自分の身は自分で守ります。このままでは……あなたが……」  隊士達は必死に叫ぶ。しかし、キャンティーは、 「あたしの最後のわがままだ……。あたしにお前達を守らせてくれ……」  そう言うと「ニコッ」と優しく笑った。無情にも漆黒の剣は、キャンティーの笑顔へ向かって、また一本と降ってくる。 ─ここまでか……  そう思った瞬間、一閃の光が漆黒の剣を貫き、キャンティー目の前を通りすぎた。  光の飛んできた方を振り向くと、そこにはずぶ濡れになったキノが立っていた。 「待たせたな」  そう言うとキノは魔女の上空に渦巻く黒い曇めがけ、引き金を引いた。 「いっつも遅いんだよ……」  張りつめた意識から放たれ、キャンティーは安堵(あんど)と共に地面に崩れ落ちた。
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