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「良かった。犯罪者扱いされなくて」
結局私もまた眠ってしまって、
次に目を覚ました時は10時を過ぎていた。
贅沢ついでに彼がお風呂の用意をしてくれていて、有り難く頂戴し今に至る。
「しませんよ。っていうか、ご迷惑をおかけしました」
貸してくれたドライヤーで髪を乾かしている間に、
カラスが行水から出てきて珈琲を淹れてくれた
「迷惑って」と吹き出した彼の濡れた黒髪は艶々してて、前髪が落ちてて普段より若く見える。
「いや、宮田は悪くないし。っつか、敬語に戻ってるし」
そりゃそうでしょ。年上だし、主任だもの。
ガサゴソと音をさせて、主任が餌の袋を開けている。キャビネットの上に置かれた水槽の中、キラキラと光るのはグッピーの群れ。
最近飼いだしたと聞いたのが昨日の忘年会で。「なにそれ寂しいの?」と同期の先輩たちにからかわれているのを見て私も笑って。しらふでは言えない事を言ってた気がする。
「タメ口でした?」
「それ程じゃなかったが。けどそんな仕事モードじゃなかったな」
緊張を隠すためには、仕事モードが便利なんだもん。
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