結婚式編

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結婚式編

荘厳な雰囲気の中、雅楽の音を聴きながら斎主さまの後に続く。 慣れない草履でしずしずと歩く僕は、今日小さな頃から夢に見た結婚式を挙げる。 綿帽子を被り白無垢姿の僕の隣には、旦那様になってくれる大好きな九条さん。 堂々とした様子で歩く九条さんの逞しい姿に、僕の胸はギュッと握られたかのように昂る。 神前へ挨拶を終えてからも粛々と式は続く。 ずっと緊張しっぱなしでカチカチに固まっていて、ふわふわした気持ちの僕は現実だという実感が湧かない。 そしてそんな僕の緊張がピークとなる誓詞奏上になって、九条さんと揃って神前に礼をした。 ゆっくりと顔を上げると、九条さんが誓詞を読み始めた。 「今日の吉日に私共は御神前にて結婚式をあげました」 その力強く、優しい、深い声音に僕の耳が震えて、改めて九条さんと今結婚式をしているんだと実感していく。 そっと僕は九条さんの横顔を見た。 いつもと変わらず落ち着いた様子の九条さんは黒の紋付き袴に身を包んだ姿はいつも以上にカッコよくて、またも見惚れてしまった。 何度も見てきたはずなのに、今日はいつも以上にカッコよく見えるから仕方ない。 「これから先は卸信託を頂き、信頼と愛情を以て夫婦の道を守り、苦楽を共にして平和な生活を営み、終生変わらぬことを誓います。幾久しくお守り下さいますようお願い申し上げます」 九条さんが紙から視線を上げて真っ直ぐに前を見たその瞳には誓いの強さが宿っていた。 「ここに謹んで誓詞を奉ります。令和×年×月×日。夫、九条一臣」 僕は嬉しくてウルウルしながら思わず九条さんをじっと見つめた。
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