まちは出会う

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私は出会った。彼と。 そこは、小さな町の大きな橋の上。 昔は多数の車が行き来して、交通量の多かったこの橋も、都市部への若者流出と、高齢者の運転免許証返納によって、車どころか人さえも滅多に通らなくなってしまった。 たまに、高齢者が乗った自転車か市町村で運行している町内を巡回するバスが通るだけとなってしまったそんな橋。 その橋の小さな広場のような所に、石碑はあった。 石碑には、今はなかなか読む人が居なくなってしまったこの町の由来や歴史が刻まれていた。 そんな石碑をなんとはなしに眺めていると、この町では見た事がない一人の青年がやってきた。 大きな登山用のリュックサックを背負って、黒いジャンパーを着た30代くらいの青年だった。 私の近くまでやってくると、手には今時珍しいデジタルカメラとバインダーを持っている事がわかった。 私は石碑の前から離れると、青年を見つめる。 青年は先程まで私が居た石碑を前までやってくると、その場にしゃがんだ。 そうして、デジタルカメラを向けると石碑を撮影し始めたのだった。 私は青年の背後に回る。 そんな私に青年は気がつかずに、石碑の撮影を続けていた。 最初に石碑だけを撮影して、それから石碑とその周辺の撮影を始めたのだった。
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