紺碧の馨り

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時は流れ、パーティーも終盤に差し掛かる中、会場から少し離れたくてバルコニーにスウと移動していた時だった。私たちがここにいるはずもないと思ったのか、招待客の人魚たちがなにやらこそこそと話始めた。 「なぜ、王族の方々はあんなに感情が薄いのかしら?こんなにたのしいパーティーも台無しよね」 「とくに王女様ときたら微笑みもしない。あんなに美しいのに、もったいないよね」 「あら、あなたたち知らないの?王族のウンディーネの言い伝えを」 「言い伝え?」 「ウンディーネは、実体があるように見えて実はまだ魂がないの。だから感情もないのよ。でも、年頃になって陸の人間と恋に落ちると、魂と感情が芽生えるの。だけど、それには大きな代償があって、もし愛した人間に裏切られると、そのウンディーネは水になってしまうの。」 「そうなんだ!知らなかったわ」 「でも、王女様以外の王族の方々は、少し感情があるようだったけど…?」 「ああ、それはね。年頃になっても人間と接することなく、恋することのなかったウンディーネは、海の神と契約して魂を与えられるの。でも、感情に関しては人間と恋をするよりも不完全な状態らしいわ」 ウンディーネの私ですら知らなかったその話に、頭のなかが真っ白になるのを感じた。 でも、不思議となにも感じなくて、この話は本当なのかもしれないと感じた。 今の私がなにかを考えたところで、なにもわからない。 人魚たちが話していたことが真実なのかも、それをどうして今まで教えてくれなかったのかも。 この疑問が生まれてしまった以上、私は確かめなきゃいけないんだと、そう思った。
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