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それは……つまり……
「えぇえ!?」
お見合いから逃げ出した絢音と、お見合いをエスケープした、瑛さん。2人はなぜか、出会ってしまって、しかも意気投合してしまって、お付き合いするに、至った……と。
真っ赤になって恥ずかしそうな絢音。
女の子、の顔……。
可愛い、絢音ちゃん!しかし……であれば、自分が会っていたあの人は?!
「じゃあさ、じゃあさ、じゃあさ、私が今日会ったのは、お見合いしたのは誰ー!?」
「瑛さんの弟さんだよ! 双子なんだって!」
結局、二人でパニックだ。……落ち着いた頃、絢音が言った。
「あ、琴音ちゃん、お見合い代わってくれてありがとう。どうだった?」
「遅っ! いや、私も……その……楽しくて……断れ無かったの。また会いたいってあちらも言って下さって……」
「えぇ!?!? そんなに素敵な人だったの!?」
「うん。って、双子なら見た目は同じじゃないのかな?」
「それは、相当格好いいね」
「相当、格好良かったの。それに……上手く出来ない私のつまらない話をね、ちゃんと聞いてくれて……大人で……素敵で……」
「ぅうう! 一緒!! 瑛さんも、ちゃんと聞いてくれるの、すっごい包容力っていうか、安心感っていうか……」
「でも……私は……あちらは絢音だと思っているし、騙した事には違いないし……いいのかな……」
ふっ、と我に返ったようにそう、俯く琴音を見て、絢音は笑った。
「“琴音”だから、彼も『また会いたい』って言ったんだよ」
「……そうかな……」
あんなに、男性が苦手だった絢音ちゃんが、たった1日でお付き合いを始めてしまうほど、瑛さんは素敵な方だったのだろう。見た目の良さは、今日のお見合い相手から想像が付く。
だけど、中身も……同じくらい素敵なのだろう。
何より次に会う事を心待ちにしている自分に、絢音と同じくらい……ただ事では無かった。
この日はこのまま……久しぶりに絢音の部屋に琴音がお泊まりしたのだった。
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