絢音のプロローグ

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「お父様のお仕事先でね、奥様たちのお華の会があって、そこの奥様のお一人が同じようなことで悩んでいらっしゃって、意気投合してしまって」 「お悩み?」 「そう、ご子息がご結婚を考えられないんですって」 そんなことある?お母様同士が意気投合するとか、怖いよー。 「で、お会いすることになったから」 「え?」 「その方と」 「え?」 「今回は会う前からのお断りはさせませんから」 えええーーーっ?!横暴だー! 母は、立ち上がって文句を言おうとした絢音をひと睨みして黙らせると、ステキな方なんですってー。とご機嫌で話し始める。 絶対聞いてくれない。もうどうでもいい……。だって、結婚とか考えられないような人なんだよー? 自分もそうであることは、棚にあげていることは、お構いなしの絢音だ。しない……ではなくて、できない、人なんだと思い込んでしまったのだ。 だから、どんな人とも知らずに、その日を迎えることになる。
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