運命の出逢い

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朝から忙しない日だった。この日は、東条瑛さんが、うちにいらっしゃる。名目は、絢音ちゃんを迎えに来るということだけれど。 絢音ちゃんに出来た結婚前提の“彼氏”が本来のお見合い相手である瑛さんであれば、私と絢音ちゃんがお見合い当日に変わった事など、両親に話す必要はなく 単にお見合いはと説明しただけだ。 母親は勿論、父親も……嬉しさを隠しきれない。最も母親は隠す気などないようだ。 瑛さんの到着の知らせを受けて、家族が応接間に集合する。 「瑛さんっ!」何より、絢音ちゃんのこの姿!嬉しさが溢れてる。 「絢音」 「まあまあ、こんにちは、東条さん」 母親もそれに追随する勢いだ。 「初めまして。ご挨拶が遅れて申し訳ありません。東条瑛です」 「絢音ちゃん、良かったわねー、ステキな人じゃない。もう、絢音ちゃんはお嫁にはいけないかと思ったけど、良かったわ……」 お母さんは今にも目元から、涙をこぼしそうだ。 「お母様、やめてください」 呆れたような声で母親を止める絢音に、琴音は吹き出してしまいそうになって、口に手を当てた。 絢音の後ろに控えていた琴音は、目が合った瑛に、緩やかに、頭を下げた。瑛も、頭を下げる。 ──本当、お見合いの彼ととてもよく似ている。スタイリッシュでそつが無く……少し、彼よりも軽薄そうに見えるけれど、そこもまた魅力的な人だ。意思の強そうな目が、彼を思い出させた。 ひとしきり、挨拶をしてゆっくりお茶でも、とか何とか言われつつも絢音に急かされて、家を出た。 両親は、あっという間に出ていった二人に苦笑いしながらも、瑛さんに夢中になっている絢音に安堵の表情を見せた。 ──あと残る問題は、私とお見合いの彼が“もう一度会う”という事だけだ。顔が同じだからといって……どちらでも良いわけではない。私も、絢音ちゃんも。彼がもう一度会いたいと言ってくれたのは、私だから……そうだといいなと思っていても、不安は残ったままだ。
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