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それからもしばらくナメた口をきく武虎相手に拳を振り上げかけるのを必死に抑えつつ、とりあえずLINEを交換して武虎とは別れた。
もう少しで明日の朝刊の一面を飾るところだった。イケメン高校生、衝動的に暴力か.........みたいな見出しで。いや本当に洒落になんない。
ただお菓子を買いに来ただけなのになぜ俺はここまで初対面の後輩に罵倒されなければいけなかったんだろうか。
.........まぁ、舐め腐った後輩の事は一旦忘れるとして。とりあえず人数増えたって事になるなら尚更気合いを入れてお菓子を選ぼうじゃないか。
当初の目的を思い出した俺は静かになったお菓子売り場で黙々とお菓子を選ぶ。
座り込んでお菓子を吟味する俺の横を小さい子ども達が不思議そうにしながら通り過ぎていく。
見るんじゃない。人はいつだって何歳になったってお菓子を無性に食べまくりたくなるんだよ。いつまでも少年の心を忘れないんだ。
種類は豊富に、定番ポテトチップス系から期間限定品まで幅広く買い揃えた。松岡は何か前にスナック系好きだって言ってたし。あと炭酸も好きらしい。典型的な男子高校生って感じだな。
斎藤は.........どうなんだろう。あんまりこういうの食べてるイメージないんだよな。甘い物とか好きだといいんだが。
斎藤がお菓子好きそうなイメージは全く湧かないけど、何食べてても絵になりそうだからイケメンってヤツは.........まぁ、俺もなんですけどね!!何せイケメンなので!!!千年に一人のイケメンなので!!!
武虎のせいで下がりかけた自己肯定感を全力で高めながら、俺はカゴいっぱい詰め込んだお菓子を持ってレジへ向かった。
満足した俺は家までの帰り道を大きな袋を抱えて歩く。.........斎藤と稼いだバイト代の残りほぼ使っちゃったぜ。
あとは二人を呼んで決行するだけだ。.........と、武虎もいるんだった。アイツの事素で忘れそうだわ.........
まぁ、一応俺のグループに入った訳だし。可愛がってやらない事はない。初めての後輩な訳だしな。.................アイツの態度にもよるが。
.........それにしても.........ついに四人、か。まだまだ渋谷には遠く及ばないけど、増えてくるとやっぱり嬉しいな。
心なしか軽い足取りで俺は家に帰還した。
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