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「んじゃ、食べよっか。まぁ、つっても俺は菓子パンしか持ってないんだけどさ」
「.........お、おい.........」
メロンパンに貪りつく俺の制服の裾をちょいちょいっと引っ張る色島兄が、なにか言いたげに俺を見つめている。
「どうした?.........まさか昼飯忘れたのか?俺のでよければ分けようか?コロッケパンでもいいか?」
「ち、ちげぇよ.........いや、ありが、とう.................その.....そう、じゃなくて..........い、一応、べ、弁当.........つ、作ってきた、ぞ.........?」
「へー、色島兄って弁当自分で作ってんのか、偉いな..................って.........え、まさか俺の分も?」
まさかとは思いつつそう声をかけると、色島兄が小さくコクリと頷いた。
「く、口に合うかは、わ、わかんねぇけど.........こ、これ.........」
そう言って渡されたピンクのウサギの弁当袋から恐る恐る弁当を取り出す。フタを開けるとそこには。
.........言わなくても皆わかっているだろう。だがあえて言葉にしよう。見事な完璧な愛妻弁当がそこにはあったのだった。
タコさんウインナー、ウサギのリンゴなんて言うまでもなく、ハート型のハンバーグとかも入っている。
もう色島兄は不良とかやめて早急に本を出し教室を開くべきだとあれほど言っただろうが!!
弁当を見つめたまま黙り込んでいる俺を不安げに見つめる色島兄の視線に気づき、急いでハンバーグに食らいついた。
「ど、どう、だ.........?」
「.........めっっっちゃくちゃうまい.........!!!.........色島兄が作ったやつだからうまいんだろうなと思ってたけど、まさかこんなにうまいなんて.........え、待って弁当のハンバーグってこんなにうまいっけ?何だこれ?やばい、すっげぇうまいって.........!!」
「ほ、ほんとか.........?」
「嘘なんてつかねぇよ!!こんなうまいの初めて食べた.........色島兄裁縫だけじゃなくて料理もうまいんだな.........完璧かよ.........」
「べ、別に、うまくねぇよ.........!!.................で、でも.........お、お前が、気に入ったなら、よ、よかった.........けど.........」
安心したように息を吐いた色島兄は少し照れくさそうにはにかんだ。
エッ.........何なのこの子何なのこの子今期の壊れるほど抱きしめたい子No.1に堂々ランクインしてますけど!!?俺調べですが!!!???
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