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とりあえず俺と色島兄は体勢を立て直す事にした。
ゆっくりと立ち上がり、体の汚れを軽く払うと並んで色島弟を見つめる。
「......聡?お前、どうした、こんな所で...」
「.........兄貴こそ......そ、そいつと、何してたんだよ...... 」
「.........さ、相模が、いきなり、バランス崩して転んだから、起き上がろうとしてた所だ」
「はぁあぁあ?バランス崩して転んだあぁぁ!?それで何でそんな体勢になんだよ!....正直に言えよ、誤魔化してんじゃねえぞぉぉお!!!!!」
「......誤魔化して、なんか、ない。第一、他に、何がある?こ、こんな体勢になるのに、転んだ以外、あると思うか?」
「.........エロい事しようとしてたんじゃねえのかよぉぉお」
「...エッ........バ、カな事、言うな!!!!!んな訳、ない、だろ!!!!」
「......ハッ......どうだか。大体」
「ちょっとストップストップ!!!!」
見るに耐えかねて割って入った俺に驚いたのか、二人がそっくりな顔で俺の方を見つめる。
「お前勘違いしてるって!!俺達別にエロい事なんてしてないし!!いやそりゃしていいと言われたらやぶさかではないですが!!!!!それでやらないとしたら男が廃ると言いますか!!エロい目で見た事がないと言えば嘘つきと言われても仕方がないのですが!!!!」
「.........相模。.........ややこしく、なるし、お前は、ちょっと、黙ってろ」
色島兄に遮られた俺は仕方なく口を閉じた。自分でも今のは内なる欲が抑えられていない自覚があったからな。本人と弟相手に何をカミングアウトしてるんだって感じだよな。
「.........んだよ。じゃあ、結局、エロい事しようとしてたって事だろぉおぉ?」
「そうじゃ、ない。俺達、は、ただ、ここで昼飯を.........」
「だから、それも気に食わねえっつうんだよォオオォ!!!!!!!」
急に癇癪を起こしたようにそう叫んだ色島弟が、けたたましい音をたててフェンスを殴りつけた。
その手からは血が滴り、地面をじわりと赤く染めていく。だがそんな事気にも留めていないようで、色島弟は俺と色島兄を鋭く睨みつけている。
「.........俺が、知らねえうちに知り合って、仲良くなって.........しまいにゃ二人でこんな所でこそこそ飯食うような仲になったっつう事かよぉぉ!!??」
「こそこそって.........俺達は別にそんなやましい感じで飯を食ってた訳では.........ただ普通に友達になったから一緒に飯食おうぜってなって屋上に来ただけで.........」
「そうだ、相模の言う通り、だ。俺達はただ」
「.........て、ねぇ」
「へ?今、何て.........」
「俺は、お前から飯に誘われた事なんて、ねぇっっ!!!!!!!」
と、叫んだ色島弟の顔を唖然とした顔で見つめる俺氏。.........え?待って、どういう事?
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