再び

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ふいに、武虎が黙り込む。...さすがに赤裸々に話しすぎて引いたのか...?と、俺が少し心配した時。 「......それが松岡さんにだけじゃないとしたら、どうなんですか?」 武虎の言う意味が一瞬わからなくて思わず武虎を見つめる。だけど武虎は相変わらずの能面フェイスで俺を見つめ返すだけだ。 「...それは、あれか。...俺が、えっちな事したいって思うような相手が他にいるかもしれないって事か?」 「まぁ、そういう事です。相模さんぐらいのゆるゆる下半身だったら他の人にもそういう邪な事考えたりしてるんじゃないのかなって。だとしたら、松岡さんの事が特別に好きって訳じゃないかもしれないじゃないですか」 「うーん.........他......?」 「...例えば、斎藤さんとか」 「斎藤?...斎藤はそりゃいいヤツだし......って、俺ってば斎藤に告白されたんだった!!...しかもナチュラルにキスまでされたんだよな......うーん...意識してないって言ったら嘘になる、な...」 「...斎藤さん意外と手早いですね.........でもそれって多分相模さんが斎藤さんを抱くっていうより相模さんが斎藤さんに抱かr」 「いいや俺は負けないぞ!?例え斎藤の方が背が高くてガタイも良くて声も低くて良い声だからといって俺は屈したりしない!!俺は基本的には抱きたい派なんだ!!!ていうか俺なんで斎藤とセックスする前提で話しているのか!?あれえ!?」 「.........つまり、斎藤さんに対しても同じような感情があるって事でしょ」 「そ、そうなのか......俺ってなんてフットワーク軽いの...........足軽かよ.........いやそれは違うか」 「まぁこれでわかったじゃないですか。松岡さんだけにじゃないんだって。つまり、松岡さんへのその気持ちは恋じゃなくて、ただの性欲ゆえなんだって」 「...............言葉にすると、ひどすぎない?」 「相模さん普段からそうなんじゃないですか?とにかく解決ですね。よかったですね、自分の心の慰謝料として何かください現金のみ可で」 「すっげえ普通にカツアゲだ!!!つうか諦めてなかったのか俺から金を得る事を!!」 「それくらいしてもらわないとこの不快な気持ち収まらないんで」 「...えぇ.......勝手に聞いておきながら...........うーん......じゃあ、はい。渉に貰ったお菓子わけてやるよ。めっちゃ美味いから食べてみ」 ポケットを漁り、可愛いラッピングに包まれた小さな焼菓子を取り出した俺は武虎に差し出す。武虎はそれを受け取らず、俺を見つめている。
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