再び

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そして部屋に着いた頃。スマホが軽く振動する。着信音的にこれは電話だな。 ディスプレイには斎藤の名前。そういや、LINEとかわからないって言ってたな... 「はい」 {...相模か?.....俺だけど...} 「...ふ......斎藤......俺だけど、じゃ怪しいから。名乗んないとオレオレ詐欺みたいだよ」 {......あァ、悪い......普段電話なんてしねェから............今、少し出られるか?} 「うん。正門の所でいい?」 {......あァ} それだけ言って電話はプツリと切れた。......斎藤、本当に普段電話とかしないんだろうな...... 正門に辿り着いた俺は辺りを見回し、門の影にいた斎藤に近づいた。 「ごめん、待った?」 「......いや。......来てくれねェかと思ってたしな」 「え、何で?斎藤からの呼び出しだもん行くよ」 俺がそう答えると、斎藤は一瞬固まった後少しだけ困ったように微笑んだ。 「.............お前は本当......意識せずそういう事言えちまうんだもんな.....」 そう言って俺の頭を撫でる。大きな手がその大きさに似合わぬ優しさで頭を撫でる感触は嫌いじゃない。むしろ心地いいくらいだ。 俺はその手に頭を擦り寄せた。......瞬間。斎藤の手がピタリと止まった。 「......?......どうかした...?」 「..............無意識とはいえ、タチが悪ィな、本当.......」 「?......お、おう、何かわからんがすまん.........てか、来ないと思ってたってどうして?」 「......告白した上に、同意も無しにキスまでしたから.........もう、顔見るのも嫌なんじゃねェかって思ってた」 「そんな、それくらいで斎藤の事避けたりしないよ」 「......それは.........少し、複雑だな.........俺の事、意識してねェ......って事だよな...?......告白してキスしたぐらいじゃ、そういう風には見られない...か...?」 いきなり斎藤の整った顔が距離を詰めてきてぎょっとした俺は、思わず後ずさる。構わず尚も近づこうとする斎藤を軽く押しつつ慌てて口を開いた。 「待って待って待って、避けないとは言ったけど意識してない訳じゃないから!!!正直言うとめっちゃ意識してるから!!」 「!..................あ、あァ、悪ィ...............」 「...............うん.........」 何となく気まずい沈黙が続く。.........クソ、さっき武虎とああいう話したせいで余計意識するわ.....
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