再び

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「相模くん、だったね?いきなりでごめんね、来てくれて本当にありがとう。ここのマスターをしている鈴木です。今日はよろしくお願いします」 斎藤の所へ行くと、初老のダンディーなおじさまが俺の方を向いてそう挨拶をしてくれた。 派手なイケメン!という訳では無いがいい年の取り方をしているというか.........不思議な色気のある人だ。.........バーで働いているとこういう風になるのだろうか。 「どれだけお力になれるかはわかりませんが、精一杯頑張ります、よろしくお願いします」 「あぁ、本当にありがとう。お酒を作ったりとかは私がするから、相模くんには主に他の事を広く担当してもらいたいんだけど大丈夫かな?」 「はい、大丈夫です」 「じゃあ、とりあえずどういう事をしてもらうか説明するね.........まずは、お客様が来店されたら.........」 こうしてマスターから色々説明を受ける事数十分。それから俺は実際に斎藤を客と見立てて接客の練習を開始した。 マスターのチェックも入り、OKが出た所で、ふいに入口から扉の開く音が聞こえてきた。.........俺の接客力が惜しげも無く発揮される時が来たようだ。 「.........マスター、今日やってっか?急で悪いけど、ちょっと時間持て余しちまったから来たんだけ、ど.........え?」 「.........え?お、お前.........」 「な、なな、なん.........何っでテメェエエェエエエがこんな所にいやがんだァァァァァ!!!???」 もう皆様もおわかりだろう。そう、この独特な間延びした語尾を使うのは......... 「よ、よぉ、さっきぶりだね、聡.........」 「あ、お、おう、さっきぶり.........じゃねぇえぇええだろ、何呑気に挨拶してんだテメェエェエエェエエエ!!!???ここがどこかわかってんのかァァァ!?ば、バーだぞ!!!?未成年が働く場所じゃねぇだろうがよォオォ!!??」 そう、もちろんコイツは色島ブラザーズの弟、語尾の余韻がすごい方、色島聡くんである。タンギングが激しい方の兄の色島渉くんは一緒ではないようだ。 「いや、それよりも未成年が来る場所じゃないだろ、聡.........まさか酒飲んだりしてないだろうな?いくらお前が不良をやっているとはいえお母さんそれは許しませんよ」 「酒なんか飲むかよっ!!!!つうか未成年は飲んじゃいけねえだろうが!!!!ま、まま、マスターとは親が馴染みで昔から世話になってっから.........酒はダメだけど、手作りのジュースとか菓子とか出してくれんだよ!!!だから来てんだ文句あんのかコラァァァァァ!!!!」 「お前本当に不良のくせに非行に走んねえよな.......いや集団リンチとかはしてたけど.........つうかさっき会ったばかりなのにまた会うなんて.........今日は聡ととことん一緒にいろって神様が言ってるのかもなぁ。それか運命だとか?」 「.........えっ.........................あ、い、いや.........へ、変、な、事、言ってんじゃねぇぞォオォ、雅貴っ.........こ、この.........ボケッ!!!」 いやいや顔を真っ赤にしながらそんな可愛い言動されても....相変わらずテンプレツンデレだなコイツ.....と思ったが、言ったら殴られそうなので大人しく黙ったまま慈愛に満ちた顔で頭を撫でてやると結局殴られた。何故なんだ。 気安く触るな!!と言われたが、俺の手首を掴んだまま離さない所を見るとやはりただのツンデレのようだ。そのまま無理やり頭を再度撫でると、驚いたような顔をしていたが、そっぽを向きながら小さな声で「.........ばか」と言われた。.........抱きしめていいやつですかねこれ?
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