再び

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「3ヶ月くらい入院させ.........?」 聡の衝撃の告白を白昼夢だと思う事にして聞き流そうとしている俺とは違い、しっかりと耳にしていたらしい斎藤が聡を殺人鬼でも見るような目で見ている。 俺が、コイツはマジでイカれたヤバいやつなんだぜとGOサインを出したら今にも飛びかかりそうだ。さりげなく俺と聡の間に割って入ってきた斎藤が微かに身を固くするのに気づいた俺は慌てて斎藤の肩を掴んだ。 「さ、斎藤!今のはコイツのジョークだから!!俺の事今も敵視してるとか危害加えようとしてるとかは本当に全然ないから!!」 「あん?まるで俺が日和ってるみてぇに言うんじゃねえぞォオ.........?いいか、俺は今は一時的に見逃してやってるだけで.........お、お前がさっきみたいに俺に変な事したりとか、言ったりとかしたら、いつでもとっちめてやるつもりなんだからな........」 「.........................」 「わかったわかった、いつもの照れ隠しっつうかツンデレのツンなのはわかってるから!!でも今は紛らわしいから黙ってような聡!!斎藤も!!確かに初対面は敵対したけど、今は心通わせて友達になったから!!!何なら友達どころかそれ以上の進んだ関係になったと言っても過言ではない!!!!心が交わったから次は体かなっつってな!!!」 「〜ッ、だから、そっ、そういう事を言うなっつってんだろォおおおおが!!!!!」 そんな場合じゃないとわかっていながらするりと軽口を叩いてしまうこの口が憎いぜ。俺のイケメンすぎる顔面とこの顔面で生まれ育ってきた圧倒的自信や自負がそうさせてしまうのかな。自分で自分が怖い。 案の定俺は聡に殴られ、斎藤がそんな聡に更に鋭い視線を送るのを見ながら俺は背中に冷や汗が伝うのを感じる。 .........そりゃそうか、斎藤からしたら自分のお世話になっている店にいきなり危険人物が入ってきたようなもんなのか。聡に何かされる前にどうにかしてやろうと思うのかもしれない。 とはいえ、初期設定も消えかけ今では本当にただのツンデレテンプレヒロインにキャラ変しつつある今の聡をボコボコにしては可哀想だろう。確かに以前の行いは非人道的なものだが。 昔はナイフ舐めたりとか大勢で囲んで痛めつけたり踏みつけたり散々な事してたのにな.........時々俺ですら忘れそうになるわ......... 「あのな、斎藤。聡は本当今は悪いヤツじゃないから。そりゃ昔は確かに褒められたもんじゃなかったけど、今はこんなに可愛くていい子になったし!!本当!!な、聡!!」 「誰が可愛いってんだよ、誰がァァ!!テメェバカにすんのもいい加減にしろや、もう一回殴られてぇええのかァ!!!!そもそもお前あの時俺に勝てねえって悟って逃げ出したんだよなぁあ!!?俺より立場的には下なのにイキってんじゃねぇぞ!!!」 斎藤がいるからなのか、普段よりツンが多めの聡が今にも噛みつかんばかりに威嚇してくる。.........うーん、可愛い所を知ってしまっている俺からしたらそれすらも可愛いだけなんだが。 「そうだよ、聡と戦っても勝てないって思ったからあの時は逃げたんだ。聡は強いからな」 「ふ、ふん!!!わかってんならいいんだよ、わかってんならよぉぉぉ!!大体お前はクソ雑魚のくせに調子に乗って.........」 「.........お前より相模が弱い訳がない」 「んじゃ.................あ?何つった、そこのデカいの」 いきなり広がる張り詰めた空気に対応が一瞬遅れた俺が慌てて諌めようとしたが、二人はすでに一触即発といった雰囲気で睨み合っている。 な、な、何だ!!!??今何が起きようとしているんだ!!!?????
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