再び

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予想外の言葉に思わず食い入るようにして聡の顔を見つめる。その視線に気づいたのか、聡が俺をキッと睨みつける。 だがその眼光には鋭さも迫力もなく、そうしていないと今にも泣き出しそうなのを誤魔化しているといったような弱々しげな顔だった。 こんなにも恥ずかしげに頬を染め、自分の口から出た言葉に酷く狼狽している聡をこれ以上追い詰めるのは気の毒な事だろう。だが、それでも俺は今の言葉を聞き流す事はできない。 「.........聡.........俺の事.........嫌いじゃ、ないんだ.........?」 「.........嫌い、なんて.........言った事、ねぇ、だろ.........」 「.........いや、だって俺らの出会いってわりと良くなかったじゃん.........?最初はボス候補として名をあげようとしてる俺を潰そうとしてた訳だし.........それで戦うぞ!ってなってる聡を自分のペースに巻き込んで煙にまいたり.........しかもそこからえっちな事言ったりセクハラしたりとか.........今軽く言語化しただけでも一つも好かれそうなポイントがないのですが.........」 「.........頭おかしいのかと思ってたが、自分がやってきた事は冷静に見つめられてんじゃねえか.........最初は確かにお前をぶっ殺してやろうと思ってたさ.........けど、お前が.........今まで見た事ねぇタイプの、人間だったから.........その.........接してる、うちに.........別に、悪いもんじゃねえなって思うようになったり、だな.........」 「そりゃ、今までにも俺みたいなイカレ変態セクハラ魔と関わってきましたって言われたら、悪い事は言わねえからソイツ警察連れて行きな?って助言するしかなくなるけども.........」 「.........ハ.........お前みてえに、思った事を頭通さず直結で喋ってる、みてぇなヤツって、初めて見たんだよ.........俺の周りは俺にビビって顔色窺ったり変に持ち上げるようなヤツしかいなかったからよ.........だけどお前は俺が大勢人間使って追っかけ回したり、刃物チラつかせたりとか.........汚ねえ事とか色々したのに、ものともしねえで俺の事.........し、知りてぇって.........言って、くれた、だろっ.........!!」 確かに言いました、そんな事。でもそれは別に聡と仲良くなりたかったからとかじゃなくて、どうにかして聡から逃げるかやり返すかして状況を好転させようとして必死に頭回した結果絞り出した苦肉の策と言いますか......... 別に聡の事を知りたかった訳じゃなくて、あわよくば弱点とか教えてくんねぇかな〜みたいな事しか考えてなかった訳で......... もちろん聡と仲良くなって色々知った今となっては聡の事本気でもっと深く知りたいと思ってますよ?心も体も隅の隅まで奥の奥まで全部俺が暴いてやりたいとだな.................待てバカそうじゃなくて......... 「.........俺と、対等に.........喋ってくれたヤツ、初めてだったんだよ.........他のヤツが普通に喋れねえくらいヤベーヤツになったのは俺の意思だし自業自得だけどよ.........それって.........寂しい、んだよ.................俺だけ、ずっと、一人、みてえで.........けど、お前のお陰で.........俺は、一人じゃなくなったし.........誰かとつるむのも悪くねぇって思えた.........」 「.................聡.........」 「んな、ヤツの事.........嫌いだなんて、思うかよッ.........?!.........思わねぇだろ.........っ!!!!?.........むしろ、す.........ッ、す、す.........ッ.........................き、に、なる、だろ.........ッ!!!!!!」 「え待って今俺の事好きって言った????聞き間違いじゃないよな??え???俺の事好き???好き??好きって.........好き!!!????好きって好きって事!!!????ほの字!!????セッ.................じゃなくてえっちな事も視野に入れた関係へのステップアップが可能って事!!????」 ふと気づけば、絞り出すように心の内をさらけ出した聡の言葉に水をさすような頭の悪そうな俺の声だけが響き渡っていた。
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