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俺のあまりの頭の悪い場にそぐわないアホみたいな言葉に理解が追いつかないのか、ポカンとした顔で聡が俺を見つめている。
俺自身も自分の口をついて出たイカれた言動に後悔が襲ってきている所だった。
確かにそうしたいとは思ってはいるけど.........今のタイミングじゃなかっただろ、俺.........!普段からエロい事言うのに慣れすぎて、考えるより先に言葉が出てしまうのが癖になっていているのはよくないよなぁ.........!!??
.........混乱しているのか、警戒しているのか.........怯えているのか、聡の体は強ばっている。俺の様子を窺うように向けられた視線がまた嗜虐心を擽るけど、俺はなけなしの理性でそれを振り払い、さっきの発言を無かった事にして話を進める事にした。
「.......なんて、ふざけた事を言ってはみたけど............................俺がこれだけ普段からあれやこれやエロい事したいとか好きだとか散々言ってたのに、聡はそれを全部冗談だ、からかってるだけだ、とか思ってたんだ.........?それはあまりにも俺の聡への気持ちを.................俺の、性欲をナメ過ぎているんじゃないかな.....?」
「.................ま、雅.........」
「俺はねえ、本当に本気で本心から思っている事以外絶対言葉にはしねぇの。気持ちのない言葉なんて言わない。軽はずみに、ただヤリたいたがためとかで好きだとか抱きたいだとか言わない。.........ヤリたいから好きなんじゃない。好きだからヤリたいの。.........ただエロい事したいんじゃない。好きだから、エロい事がしたいの」
「.........じ、じゃあ、雅貴は、本当に、本気で俺の事を.........?」
「当たり前だろ。俺はこれだけイケメンだし、エロい事する相手に正直事欠いた事はない。でも、一度だって好きだって感情が無いのに愛を囁いたり、性欲だけで抱いたりした事なんてない。.........ただ欲が満たせれば誰だって.........なんていい加減な感情から来てんじゃねぇんだよ、俺のこの果てしない性欲は。.........だって、好きな子とするから気持ちいいんだろ、セックスってのは」
「.........雅貴.........」
「だからこそ、俺がヤリたいって言うのは好きだからなの。ヤリたい=好きって意味なの。.................もちろん、好き=ヤリたいって意味でもあるけどね?............................つまり.........この意味、わかるよな?」
そう言って俺が一歩だけゆっくりと聡との距離を詰めると、聡はハッとした様な顔で尚も赤らんだ顔のまま、怯えるように.........少し、ほんの少しだけ期待を滲ませたような顔をして俺から一歩後ずさる。
縮まらない距離のもどかしさとは裏腹に、一度触れてしまいさえすれば最後までこのまま遂げてしまえそうなそういう雰囲気に、自分が無意識のうちにゴクリと大きく喉を鳴らし、生唾を飲み込んでいた事に気づく。
.......本当に、コイツは.......マジで無自覚なのか、これ....?無知で無垢だからなのか.......それとも、他人に欲を向けられた事がないから、こんな事ができてしまうんだろうか?
.........触れて、しまおうか。このまま無茶苦茶に触れて、暴いて.........全部奪ってしまおうか。
泣いて叫んで嫌がっても、嫌いだと罵られようとも、全てを蹂躙して.......細胞の一つ一つにまで俺を教えこんで、刻みつけてやろうか。
二度とこんな事を言わないように。二度と俺の気持ちを疑わないように。.......二度と俺の欲を軽んじて、煽ろうとしないように。
そうしてしまえればどれだけ気持ちがいいだろう。.........................................どれだけ、後悔するんだろう。
「........ここまで言えば、俺がどれだけ本気かわかったかな?聡ちんは」
「.................................あ.........」
にこりと微笑みながらそう言えば、聡の緊張がじわりと徐々に解れていくのがわかった。.........俺がもう何もしないつもりだって事に気づいたんだろう。
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