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夜、寮の部屋で元気に筋肉体操に勤しんでいると、ふいに携帯が鳴る。画面の表示には母さんの名前。
やっと愛息子が心配になったか。母さんも血が通った人間だったんだな。
まあ、俺のめくるめく公務員生活までもうちょいだし今日ぐらい長電話してやるか。
そう思っていた時期が俺にもありました。
電話内容は父さんの事業が破綻した事。家はもう売った事。それからーーーー
一切の仕送りの停止と俺の公務員への夢が限りなく不可能になった事だった。
俺はならば自分も学校を辞めて働くと訴えたが聞き入れられなかった。何でも一端の不良が家の事情で退学なんざカッコつかねえ、辞める時はてっぺんを取った時だけだ、との事らしい。
母さん俺より多分あなたの方が不良に向いていると思います。今時そんな考え方してるのあなたくらいではないでしょうか。
という訳でハイ。俺、今日から公務員を夢見る若者から明日の生活すら苦しい極貧学生に早変わりっス。
え、どうしたらいいの。俺、これから先どうしたらいいの。
絶望にうちひしがれる中、俺の中に一つの考えが浮かびました。
確かに俺はいつ死ぬともしれない状況な訳だが、松岡に借りを返さなきゃ死んでも死にきれねぇ、と。
え、だって、俺無抵抗なのに殴られたし(少しも痛くなかったが)罵られたし(他のヤツらと大差ない内容)だし、やり返す資格あるよね?十分だろ。
という訳で俺今日から脱ヘタレします。これからの俺の輝かしい学校生活に乾杯。
さようなら昔の俺。こんにちは新しい俺。
まぁ、でも松岡倒すだけが目標じゃつまんねえよな。多分それだとあと何ページかで終わるし。
手始めにまずは松岡にやり返す。それから今後の身の振り方を考える。そんな所だろう。
という訳でひとまず俺は段ボールを食べてみた。
いや、雰囲気作り大事かなって。いつか本だすかもじゃん。ホームレス☆高校生みたいな。
でもやっぱり段ボールは美味しくなかったです。
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