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だが、まだ引き下がれない。せっかくだしもうほんの少しだけ粘りたい。
今の気分をはっきり言うなら、最高にhighってヤツなんだ。久々に素で喋ってるしな。
渋谷は依然として無表情なままで感情が全く読めない。いきなりこんな事してる俺に怒ってるのか?それとも呆れてる?
表情がわかりにくいのは寝起きと変わらねぇな。これが渋谷のデフォなんだろうな。
しかし、無表情が様になるヤツだ。イケメンってヤツはこれだから。いや、俺もイケメンではあるが、渋谷とは違い表情豊かなイケメンなんでね。
「じゃ、こんなのはどうだ?今、俺とサシでやって、負けたら俺の下につく...ってのは。俺が負けたらまた大人しくパシリに戻るよ。それならどうだ?」
「.........お前が俺と喧嘩しようってのか?」
「うん。こう見えて結構強いよ俺。渋谷には勝てるかわかんないけど、まぐれで勝っちゃうかもよ?それともグループのヤツらの前じゃ力出せない?」
「...それこそないな。俺にメリットがない。俺は邪魔なヤツ以外とはやらない主義だ。無駄な事はしたくない」
......うーん......思っていたより、ボス状態の渋谷はボス然としたヤツみたいだ。俺の安い挑発には見向きもしない。
「...わかった。なら諦めるわ。けど、コイツは貰うな。行くぞ松岡」
「もがむごっ!?」
尚も喚いていた松岡を俵のように抱えて、俺は颯爽と屋上へ歩き去っていった。
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