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次の日。弁当を作る技術も買う金も無い俺は仕方なく大量の食パンを貪っていた。限りなく無味で尚且つ口の中はパサパサだ。
ちなみに俺と松岡は今日は授業をサボって早めの昼食をとりつつ作戦会議だ。
二人きりで屋上なんて何だかイケナイ事が始まりそうだろ?でもな、ただ飯食ってるだけなんだぜ。信じられるか?
俺の向かいでは松岡が小さな口を忙しなく動かしながら市販のサンドイッチを頬張っている。
「で、だ。昨日考えたんだけどな......やっぱりてっぺんにのし上がるにしても、まずは人員を増やすのが一番なんじゃねぇかと思ってよ」
「俺は別に二人きりでもいいぜ?だってその方がお前とより密に...」
「いつまでもお前と二人きりはキツいからな、精神的に」
「精神的に!?」
何て事だ。昨日あれだけ仲良く(意味深)したというのに、松岡はまだ完全には心を許してくれていなかったらしい。
「まずは手頃な......そうだな、一人でいて、グループに所属してねぇヤツから勧誘しに行かねぇか?人数はどんだけいても困らねぇしよ」
「意外にまともな考えしてんのね。......ちなみにあてはあるのか?」
「当たり前だろ。俺は渋谷グループの諜報員と呼ばれた男だぞ」
「どんだけ肩書きあんのお前。つうか誰が呼んでたのそれ?......で、誰よ?できたらフツメンがいいなあ、俺が目立たなくなるから」
「えーっと.........あ、そうだ!隣のクラスの斎藤雄歩だ。喧嘩は強ぇのに、誰ともつるんでねぇんだ。でも、いっつも学校終わったらすぐ帰るんだよな......だから、今日はその前に捕まえるぞ。放課後空けとけよ」
「わかった。他でもない松岡からの誘いだからな。絶対空けとくわ。例え先約がすでにあっとしてもスルーして来るわ」
「いや、その場合はそっち行けよ」
「やだ松岡優しい......そんな事言われたら好きになっちゃうでしょ!!」
「キモい事言ってねぇで早く飯食え!!次の授業始まんだろ!」
「え、次出るの?てっきり不良らしくサボタージュするのかと」
「当たり前だろ!!次は科学だから渋谷くんも来るんだよ!!早く食べろ、置いてくからな!!」
結局最後まで渋谷かよこの淫乱!とは思うが、嫌われたくないので俺は静かに急いでパンを食べた。
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