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今度は流石に予想外だったのか、避ける間もなく見事に頭からトマト汁粉ソーダを浴びた渋谷が固まった。
場に沈黙が流れる。渋谷の髪から滴り落ちていくトマト汁粉ソーダの水音だけがやけに響いて聞こえた。
.........ヤバい。俺の人生ここで終わりかもしれない。......両親よ...先立つ不幸をお許しください...
「.........オイ、鯖煮...」
「鯖シリーズになってます!!いや、違うわそうじゃねえ!!わ、わざとではないんです!あ、あの、本当」
「.........よく考えたら、俺......炭酸飲めねえんだ。...だから、これは貰えねえ」
「故意にじゃありま.........えっ?」
「...せっかく貰ったのに悪いな。炭酸だけは昔からどうにもな...」
...ち、ちょっと待って、何で渋谷が謝るの?つうか待ってわからなくなってきたわ今一体どういう状況?
「っつう訳だから、これは返.........あれ、ねぇな......おい、ジュース知らねぇか。目ぇ離した隙に消えやがった」
言葉通りジュースを探しているのか、渋谷は辺りをキョロキョロと見回している。
...............待って。ツッコミ所多すぎて捌ききれないんだけど一個だけ言わせてもらうわ。
......渋谷ってこんなキャラでしたっけ!?
「......あ、あの......俺が言う事じゃないですけど大丈夫ですか?体ベタベタしますよね?」
「あ?......そういや、そうだな......今日は別に暑くねえのに......」
「いや、汗とかでじゃなくて。...その...ジュースが爆発しちゃったから...」
「...何言ってんだ、ジュースが爆発なんかするか」
「...やべぇ薄々気づきかけてはいたけど、コイツ絶対天然だわ...つうかそれ以上に常識の欠如が著しい......」
目の前では渋谷がべたつく自分の体を不思議そうに見つめた後、ぶるぶると体を震わせて水を飛ばしていた。
犬みたいで可愛いな......じゃねぇ、ナチュラルに可愛いとか思っちまったじゃねぇかやっべぇええ染まるw
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