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「あ、あの...し、渋谷、さん!これハンカチ......いや、やっぱりシャワー!シャワー浴びに行きましょう!うん、それが一番だ!!」
「...オイ、俺は」
何か言いかけた渋谷に構う事なく俺は渋谷をシャワー室へ引きずっていった。
シャワーを浴びてサッパリした渋谷が、まだ濡れた髪を静かにタオルで拭くのを怪しい目付きで見つめたりしながら事を終えた。
「さて、と。じゃあ、渋谷さん。とりあえず教室に行きましょうか」
「.........おう。......教室はどこだ?」
「......え?...毎日、登校してるでしょ?」
「......一人で行った事ねぇんだよ」
ああああああああああヤバいコイツ天然で常識ない上に色々抜けてね!!!?
何だこの庇護欲をくすぐる人間は。ボスじゃなくてボス(笑)だろもはや。
俺の反応を見て不満だったのか少し不機嫌そうにする渋谷を、俺は引率の先生のように今度は教室まで連れていった。
色々あって疲れきった俺と渋谷が教室へ一緒に入ると、教室中から驚きの声があがった。
ん?何で、こんな.........しまった。忘れかけてたけど、コイツはボスで俺は最下層のパシリじゃねぇか。...そんなヤツらが一緒に仲良く並んで登校してくりゃ、そら驚きますわ。
「オイ、相模......」
「ち、違うんです、こ...これは誤解で」
「今日はお前が渋谷くんをここまで連れてきてくれたのか?」
「俺は別に何も......!......はい?」
「渋谷くん、今朝迎えに行ったらいつもの場所にいなくてよ.........無事に辿りつけるか心配してたんだよ」
「渋谷くんは一人じゃここまで来れねえからなぁ」
「相模が連れてきてくれてよかったな、渋谷くん!おはよう!」
「渋谷くん、今日も元気か?朝ご飯ちゃんと食べたか?」
......いや、何だこの対応......このちやほや具合......これ、最早ボスじゃなくてマスコットだろ。いやアイドルか!!?
渋谷の事を知った上でこの対応......?......まさか......渋谷がまとめてるんじゃなくて、コイツらが渋谷を......?
驚きの事実が発覚した瞬間だった。
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